摂氏温度と華氏温度 (2) 簡単な変換方法

前回は摂氏温度と華氏温度がどのようなものなのか、また、両者の関係がどうなっているのかを明らかにしました。
続いて、自身が行っている容易な暗算方法についてご紹介したいと思います。

【目次】
1. 華氏温度から摂氏温度への変換
2. 絶対温度とは
3. 温度のまとめ

1. 華氏温度から摂氏温度への変換

これまでの考察から、華氏温度Fと摂氏温度Cの関係は下記の通りになりました。

F=9/5×C+32

旅行上は華氏温度を摂氏温度に直したいケースが多いので、摂氏温度について解きます。

C=5/9×(F-32)

つまり、華氏温度から32を引いた値に5/9をかけると摂氏温度になるということですね。
特に5/9をかけるという部分の計算が一見複雑そうですが、自身は次のように考えています。
具体例をもとに考えてみましょう。

例として、華氏78℉を摂氏温度に変換します。
まずは32を引いた値を求めると46ですが、ここまでは容易に暗算ができるはずです。

更にこの46に5/9をかけるのですが、このときに重要な事実があります。
かける側の5/9という数字は、実はかなり単純な数字なのです。

5/9=0.5555…
=0.5+0.05+0.005+0.0005+…
=0.5+0.5×0.1+0.5×0.01+0.5×0.001+…

つまり、0.5とその桁ずれの和に過ぎません。
よって、46に5/9をかけるという計算の第一歩として、まずは0.5をかけて23を算出します。
次は46に0.05をかけた値ですが、これは先ほど求めた23の1/10ですから2.3です。
同様に考えると、下図のような桁ずらしで25.5…という値が求められます。

よって、華氏78℉はおよそ摂氏25.6℃だと判ります。
桁ずらしのおかげで、最初の求めた23という数字だけから容易に暗算ができますね。

同様に、華氏100℉も考えてみます。
まずは32を引くと68で、これに0.5をかけた値は34です。
よって68に5/9をかけるという作業は、34とその桁ずらしの値である3.4、0.34などを足すことになります。

具体的には、10の位は3で、1の位以下は(3+4)の7がずっと続くことになるので、37.7…という値になります。
つまり、華氏100℉はおよそ摂氏37.8℃です。

このようにすると、一瞬で華氏温度が摂氏温度に変換できるようになります。

2. 絶対温度とは

この項目は完全に旅行上知っておきたい知識の範疇を逸脱します。

絶対温度は熱力学的温度とも言い、『K(ケルビン)』の記号を用います。
日常生活ではまず使わないのですが、物理学における基本単位7つ(m/kg/s/A/K/mol/Cd)のうちの1つであり、極めて重要な単位です。
世の中にあふれている単位は全て、この7つ単位の組み合わせでできています。
例えば、食品に含まれるエネルギーの単位であるカロリーは、1cal=4.184(kgm^2/s^2)です。

古典的には、0℃の気体を等圧のまま温度変化をさせると1℃あたり約1/273だけ体積変化をするという観測事実から摂氏温度と絶対温度の関係が定義されました。
温度を1℃上げると約1/273だけ膨らみ、1℃下げると約1/273だけ縮むということから、0℃から約273℃下げると気体の体積が0になることが予想されます。

こうして、気体の体積が0になると考えられる約-273℃を新しく0度にし、1度あたりの幅は摂氏温度と同じという新たな温度スケールを考えることができます。
それが絶対温度Tで、摂氏温度Cとの関係は下記の通りになります。

T=C+273.15

つまり、絶対温度0Kは摂氏温度-273.15℃、絶対温度273.15Kは摂氏温度0℃です。

歴史的にはこのように、絶対温度は摂氏温度を元に定義されましたが、現在は『水の三重点の熱力学的温度(絶対温度)の1/273.16倍を1Kとする』定義となっており、絶対温度の定義が先に来ています。

3.  温度のまとめ

華氏温度F、摂氏温度C、絶対温度Tの関係を改めてまとめておきます。
なお、これらの記号は物理学で使われる記号ではなく、今回の説明上便宜的に用いているものです。

C=5/9×(F-32)
T=C+273.15

たとえば華氏温度50℉は摂氏温度20℃で、絶対温度293.15Kです。

 

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