社会人の海外旅行 設計事例(オーストラリア・サモア) (2)

前回は、通し区間の見直しで航空券の値段がどのように変わるのかをご紹介しました。
同一の航空会社で運航されている区間を通しとして同時に購入することで価格が下げられること、一方でストップオーバーが含まれるとその効果が一部相殺されてしまうことを見ました。

引き続き、さらに値段を安くしていく過程のご紹介です。

【目次】
1.  同一航空会社の国際線と国内線を通しとする(旅程パターンC)
2.  帰国便の国際線出発地点を見直す(旅程パターンD)
3.ポリネシア周遊部分をあえて分割する(旅程パターンE)
4.  航空券を安くするためのまとめ
5.  航空券が高くなるパターン

1.同一航空会社の国際線と国内線を通しとする(旅程パターンC)

まずは前編最終段階の再掲です。
雰囲気として、まだ航空券②のメルボルン~サモア~シドニーにコストダウンの余地を感じますよね。

以降は、オーストラリア東海岸とサモア近辺のエリアの最適化に着目していきます。
現段階での旅費は3人分で66.8万円です

2.帰国便の国際線出発地点を見直す(旅程パターンD)

メルボルン~サモア~シドニーの旅程では、シドニーに着目して航空券を下記のように分割してみます。

<航空券の分割>
・日本~シドニー~エアーズロック~メルボルンとオークランド~シドニー~日本の国際航空券①
・メルボルン~オークランド~サモア~オークランドの国際航空券②

<基本的な考え>
・旅程パターンCでは、日本に帰国する国際線①のカンタス便出発地点がシドニーである
・シドニーは国内線のみならず様々な国際線が発着するハブ空港である
・よって、シドニーよりも前の都市を帰国便の出発地点にして、通しで買いたい
・サモアとシドニーの間のオークランドは、カンタス航空も飛んでいる
・以上より、シドニーの代わりにオークランドを帰国便の出発地点に設定してみる

このような見直しにより国際線航空券①の価格は上がりますが、国際線航空券②の価格は下がり、トータルとして1万円以上安い約65.5万円となりました。 

3.ポリネシア周遊部分をあえて分割する(旅程パターンE)

旅程パターンDまでの過程で、おおよそやることをやったように思えますが、航空券②のメルボルン~オークランド~サモア~オークランドに手を加えてみましょう。
この経路は全てニュージーランド航空に一本化されており、手を加える余地はないように思われますが、あえて下記のように分割してみます。

<航空券の分割>
・メルボルン~オークランド~サモアの国際線航空券②とサモア~ナンディ〜オークランドの国際航空券③

<基本的な考え>
・旅程パターンDでは出発地をメルボルン、目的地をサモア、帰着地をオークランドのオープンジョーにて検索していたが、この検索ではメルボルン〜サモアの航空券価格とサモア〜オークランドの航空券の2つの経路の航空券価格の和が安い業者順に結果表示されるに過ぎない
・つまり、2つの経路の航空券の和が最も安い業者だからといって、それぞれの経路の航空券が最も安いとは限らない
・そのため、個別の場合の航空券価格も調べる方がベター

解りやすい例を考えると、下表のような場合です。
往復の経路を分けない場合、航空券検索の結果はC社が最安値の30万円として表示されます。
一方で、往路と復路を分けてそれぞれで検索した場合は往路はA社の12万円、復路はD社の14万円が際安ということが判ります。

通常はこのようなケースは必ずしも多くなく、往路・復路がそれぞれが最安である代理店と合算で最安の代理店は一致します。
しかしながら、今回のような南太平洋域では航空の選択肢が少ないために路線ごとの価格ばらつきが多く、このようなケースが起こりえます。
つまり、この地域ならではの着眼点と言えるでしょう。
それでも、あえて航空券を分割することで安価になるという事例は頭に入れておいて損はないでしょう。

今回の具体例に話を戻しますと、旅程パターンEでの経路は次のようになります。

この経路での総額は約62.6万円ですので、約3万円も下がりました。
但し、サモア(アピア)の出発がもともとは21時台でしたが、16時台に早まっていますので、5時間分の現地滞在時間が減ることにはなります。
個人的には、それまでサモアに数泊をしていることと、5時間と3万円を天秤にかけて5時間は放棄できると考えますが、個人の好みも出る部分ですね。

4.  航空券を安くするためのまとめ

前編と後編の流れを改めて振り返ってみます。
前編では、日本~シドニーの往復航空券について、往路の到着地点であるシドニーをエアーズロック・メルボルンといったように少しずつ後ろにしていくことで、以降の個別航空券の経路を取り込んだ通し運賃として価格を安くしてきました。

エアーズロックでは滞在が24時間を超えるためにストップオーバーが発生し、価格を上げる要因にはなりますが、通し運賃での価格低減の効果の方が大きく、全体としては価格が下がる方向でした。
この過程で総額が76.7万円(旅程パターンA)から66.8万円(旅程パターンC)へ、約10万円が下がりました。

後編では、メルボルンからサモアでの滞在を経てシドニーに戻る経路の価格を見てきました。
日本へ帰るカンタス便の出発地点であるシドニーは多くの国際線の就航がされていることに着目し、オークランドからシドニー経由で日本へ帰る便への変更をしたり、敢えてサモア前後で区切った航空券検索をして価格を追求しました。
この過程では、総額が66.8万円(旅程パターンC)から62.6万円(旅程パターンE)へ、約4万円が下がりました。

このように周遊の航空券では、意図を持って航空券を分割することで大きく価格が異なるため、様々なパターンを検討すると良いでしょう。

5.  航空券が高くなるパターン

参考までに、日本からの往路航空券である日本〜シドニー〜エアーズロック〜メルボルンのカンタス便について考えてみます。
続く行程であるメルボルン〜オークランドもカンタス便が飛んでいるため、一見、ここも含めた日本~シドニー~エアーズロック~メルボルン~オークランドのカンタス便一本化で検索してしまえばいいように思えます。

しかしながら、実際に検索してみると、下記のように価格が著しく上昇してしまうのです。

日本~シドニー~エアーズロック~メルボルンの往路+オークランド~シドニー~日本が3人分約62.6万円(旅程パターンE)

日本~シドニー~エアーズロック~メルボルン~オークランドの往路+オークランド~シドニー~日本が3人分約165.1万円

要因として、ストップオーバー回数が筆頭に挙げられるでしょう。
エアーズロックもメルボルンも滞在が24時間を超えておりストップオーバーが2か所になっています。

通常、安い航空券はストップオーバーが1回以下のような制約があるため、2回のストップオーバーの旅程を組んでしまうと、検索の過程で『ストップオーバー1回の航空券×2』のように内部的に分割されてしまうと考えられます。
そのため、一筆書きのような美しい経路で検索をしたとしても、検索の際は実は勝手に分割されて合算金額を見ているにすぎないことになります。

以上のように航空券の検索では、むやみに繋げることも、分割しすぎることも価格に悪影響をもたらします。
原則を理解してベストな分割をする一助として、具体的な事例をもとに紹介をさせていただきました。

 

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