中国旅行記 (2) 北朝鮮からの帰還(2018年7月)

2018年7月の平壌訪問の様子を、前回までで紹介しました。
今回は平壌市内を出て中国の丹東で入国し、そのまま大連まで戻る過程です。

【目次】
1.  中国へ
2.  大連

1. 中国へ

7月15日(日)、朝8時半にホテルのロビーに集合した。
ツアー参加者全員が集合してバスで平壌駅に向かう途中、金日成広場を通りかかると昨日と同様に朝からマスゲームの練習をする生徒達。

ホテルからは乗車15分くらいで駅に到着。
駅前で、最後の現地通貨を消費する時間もなくガイドに続いてすぐに駅構内に入った。

10時25分平壌発の列車に乗車した。
往路の列車と異なり、復路の列車は通路にも折り畳みの座席が配置されているために人口密度が非常に高い。
北朝鮮人も多く乗っており、ツアー参加者は現地人に色々な質問を投げかけていた。

平壌から5時間ほど乗って15時半頃、北朝鮮の国境駅に着いた。
まずはパスポートとビザの回収をされ、その後は別の係員が出国カードの回収に回ってきた。

続いて所持品の検査。
荷物やポケットの中の検査は全員ではなく係員から氏名をされた者だけが対象だが、自分はツアー参加者唯一のポケット検査に当たり、北朝鮮通過の所持がばれて全額没収となってしまった。
日本円で150円程度分という小額ではあったが、北朝鮮の係員が真顔で問い詰めてくるよう様子が少し怖かった。
出国カードの裏面にも没収の旨が明記され、この後の出国審査に影響するかもしれないと考えると、パスポートが返却されるまでの時間が長く感じた。
なお、北朝鮮で撮った写真のチェックは一切行われなかった。

結果的には問題なく、パスポートは無事に返却されて出国の許可が下りた。
同時に、まだしばらく他の乗客の出国審査がかかるという理由で国境駅ホームに降りても良いという許可が出たので、ホームをうろうろした。
土産に朝鮮人参や煙草などが売っていたが、値段は北朝鮮ウォン表示。
ただ、この時点で本来持ち出し禁止の北朝鮮ウォンは観光客は持っていない。

国境駅到着から1時間半ほどが過ぎた17時10分頃、列車が中国に向けて動き出した。
中国の丹東までは鴨緑江をはさんですぐのため、列車はゆっくりと走る。
鴨緑江の中ほどまで来て北朝鮮側の陸地を見たとき、いよいよ無事に帰ってこられたという実感が湧いた。

中国時間は北朝鮮時間よりも1時間マイナスであるため、16時半頃に丹東駅に着いた。
中国側の入国審査と税関検査を済ませ、丹東駅の外側に出るとみな安堵した様子。
たった2泊3日の短い日程の北朝鮮ツアーではあったが、特殊な環境で過ごした影響は大きく、お互いに抱き合って別れを惜しんだ。
西洋人ガイドとメキシコ人ツアー参加者が、持ち出しに成功した北朝鮮通貨を分けてくれて非常に嬉しかった。

ツアー参加者が散り散りになった後、丹東から大連への列車の切符を買いに行った。
173.5元(約2,900円)の1等は往路で乗ったので、今回は108.5元(約1,800円)の2等にした。
18時48分発の列車に乗って大連へ。

2.  大連

2等の列車は1列に5席で、4席しかなかった1頭と比べると若干狭い。
とは言え、日本の新幹線と同じ感覚なので特に窮屈に感じるようなこともない。 

丹東から2時間弱走り、21時前に大連北駅に着いた。
大連空港方面まで移動するためのバスは最終が出てしまっていたので、地下鉄で空港まで向かうことにした。

大連北駅からは、まずは1号線で西安路まで行く。
西安路で2号線に乗り換えて機場まで行くルートで4元(約70円)。
バスの2元(約35円)・40分よりは高くて時間も1時間ほどかかるが、遅くまでやっていることが地下鉄の強み。

空港に着いて、事前に予約していた宿に向かうためにタクシーを捕まえた。
宿の住所を見せて現地に行ってもらうが、予約票に表示されている住所が正確ではないらしく、見つからない。
ドライバーが宿に電話もかけてくれたが、電話も不通になっていた。
仕方なく空港に戻ってもらい、空港近辺の宿を徒歩で探した。

空港近くには、往路で使った大連北駅行きのバス停裏にホステルが数件あった。
しかし、中国語オンリーであるために英語でコミュニケーションをとろうとした段階で拒絶され、全滅。
しかたなくホテルも数件当たるが、なかなか空きが見つからない。

やっとのことで1件の空きを見つけたが、Unionpayか現金のみのホテルであったために空港まで徒歩で戻り、現金を下ろさなければならなかった。
ホテルの受付嬢はその間、最後の空きになっていた部屋を仮押さえしてくれて非常に助かった。

7月16日(月)の翌朝。
8時10分発の関空行きに乗るために6時前にホテルをチェックアウトした。
昨日と同じ受付嬢だったので、現金を空港に引き出しに行っている間に部屋を仮押さえしてくれたことや、翻訳アプリで何とかコミュニケーションをとろうとしてくれたことに感謝の意を表すためにチップを渡した。
ところが、後から走って追いかけてきて無理やり返してくれたので、驚いた。

空港に着くと、朝6時頃にも関わらず既に国内線カウンターは激しく混んでいた。
国際線は先にセキュリティチェックを通らないといけないのだが、その列が100mはあるのではないかという長蛇の列になっていた。
結果的にぎりぎり搭乗に間に合いはしたが、やはりもっと余裕は持っていないといけない。

8時10分の大連発~11時の関空着、中国東方航空で日本に戻ってきた。
この旅程で、一連の中国入出国は同じページにスタンプを押されたため、7月13日の丹東から出国・7月15日の丹東への入国が目立ち、見る人が見ればすぐに北朝鮮に行ったことが判る。

短い旅程ながらも、見るもの全てが新鮮だった北朝鮮旅行。
積極的に薦められるものではないが、5日間程度で行ける渡航先を行き尽くしたという人には悪い選択肢ではない。

外務省が渡航自粛要請を出しているためにおっぴらに行ける場所ではないが、YPTのような格安のグループツアーもあるために敷居が大きく下がったことは事実だと思う。

 

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