世界遺産紹介 (28) アフパットとサナインの修道院

世界遺産は1,000件を越え、『顕著な普遍的な価値』があると認められた人類共通の遺産です。
その中から、自分が訪れた遺産をご紹介します。

今回はアフパットとサナインの修道院です。
独特な尖塔を持つ様子が特徴的な修道院群を見ることができます。

【目次】
1. 遺産の概要
2. 遺産までの行き方
3. ギャラリー

1. 遺産の概要

遺産名 :Monasteries of Haghpat and Sanahin(アフパットとサナインの修道院)
登録年 :1996年
保有国 :アルメニア
遺産区分:文化遺産
登録基準:(ⅱ)価値観の交流、(ⅳ)人類史上代表的段階の建築・技術や景観

2. 遺産までの行き方

日本の主要空港からアラブ首長国連邦のドバイまで向かいます。
深夜便が就航しているので寝ながら移動でき、時間が有意義に使えることはメリットです。

ドバイからはアルメニアの首都エレバンまでは3時間強のフライトです。
イラン上空をを縦断するように飛びます。

エレバンまでのその他ルートとしてはモスクワ経由が考えられます。
個人的には、深夜便で効率の良いドバイ経由を推したいところです。

エレバンのKilikia(キリキア)にあるバス停から、Alaverdi(アラヴェルジ)まではミニバスで行くことができます。
3時間ほどでアラヴェルジのバスターミナルに到着です。

アラヴェルジのバスターミナルまで着いてしまえば、アフパット修道院もサナイン修道院も遠くはありません。
ただ、徒歩で行くには少し大変なので、ターミナルから新たにミニバスを捉まえて乗る方が良いでしょう。

アラヴェルジから遠い方になるアフパット修道院は、ターミナルからから片道30分ほどです。

アラヴェルジから近いサナイン修道院は、ターミナルから片道10分強です。
アフパット修道院とサナイン修道院のどちらを先に行っても良いと思いますが、両者を直接結ぶバスは無いため、アラヴェルジを拠点とする必要があります。

3. ギャラリー

アフパット修道院は、聖堂や鐘楼といった宗教施設だけではなく、食堂や図書館など修道士の生活環境も支える設備を有した複合施設です。
最も栄えていた時期には500人もの修道士が暮らしていたといいます。

黒く変色したアルメニアの火山岩と芝生の緑や青い空が対照的な色合いで、まるでゲームの中に登場する廃れた教会のような第一印象を受けました。

現在のアルメニアの辺りには4世紀初めにイベリア王国が成立し、世界で最も早く国教としてキリスト教を採用しています。
その後はアラブやビザンツ帝国、セルジューク朝など歴史上の大国の支配を受けました。

その状況下でも、アルメニアではキリスト教の信仰が続けられたのです。
岩に彫られた十字架はハチュカルと呼ばれ、アルメニアの宗教形態を特徴付けるものです。

修道院内には石壁のレリーフなどが残っています。
ここに限りませんが、アルメニアの修道院は天井に採光の穴が開いていることが多く、時間帯によっては穴から入り込んだ太陽光がレリーフを鮮やかに照らし、非常に美しく見えます。

アフパット修道院は、ビザンツ帝国の支配下にあった10世紀末から建設が開始されました。
モンゴル襲来の被害も受けていますが、13世紀に修復され、図書館や鐘楼などが新たに作られています。

それらの建築群も現在は半分土に埋もれているものが多いのですが、一方で独特の風景を生んでいます。

サナイン修道院は、アフパット修道院から比較的近い位置にあります。
サナイン修道院の名が『もっと古い』を表す通り、アフパット修道院よりも数10年古いものです。
前身となるアメナプルキシュ教会は10世紀半ばのバグラト朝時代に建てられています。

アフパット修道院もサナイン修道院も、ビザンツ影響下に置かれた10世紀からモンゴルの影響を脱した13世紀までの時期におけるアルメニア宗教建築の代表例です。
12世紀以降には回廊や拝廊が増築されています。

近隣の大国に翻弄されながらも、このような修道院が中心となり独自の文化を保ちました。

アルメニアの首都エレバンからの往復で行くことができますが、北に隣接する国であるジョージアの首都トビリシとエレバンの中継地点でもあるため、両国間移動の途中で訪問することも良い選択肢だと思います。

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