世界遺産紹介 (30) キリマンジャロ国立公園

世界遺産は1,000件を越え、『顕著な普遍的な価値』があると認められた人類共通の遺産です。
その中から、自分が訪れた遺産をご紹介します。

今回はキリマンジャロ国立公園です。
アフリカ大陸最高峰として知られると同時に、素人が登ることができる最高高度の山ともされています。

【目次】
1. 遺産の概要
2. 遺産までの行き方
3. ギャラリー

1. 遺産の概要

遺産名 :Kilimanjaro National Park(キリマンジャロ国立公園)
登録年 :1987年
保有国 :タンザニア
遺産区分:自然遺産
登録基準:(ⅶ)優れた自然美

2. 遺産までの行き方

日本の主要空港から中東の主要都市に向かいましょう。
例えば、成田からドバイに飛ぶことが考えられます。

ドバイなどの中東主要都市からキリマンジャロまでは直行便が運行されています。
ただし、曜日が限られているという難点があります。

キリマンジャロ空港から、キリマンジャロ登山の玄関口に当たるモシまではバスが運行されています。

柱頭からキリマンジャロ空港へのフライトは毎日の就航ではないため、旅行スケジュールや周辺の訪問希望によっては別ルートのほうが良いでしょう。
中東から隣国ケニアのナイロビという手もあります。

ナイロビからキリマンジャロに向かう場合は、ナイロビからタンザニアとの国境の町ナマンガまでバスで向かうことになります。

国境を越え、さらにキリマンジャロ登山の玄関口であるモシまでバスで行くことができます。

3. ギャラリー

キリマンジャロは標高5,895mの高さをもつ、アフリカ大陸の最高峰として知られます。
特別な登山技術が無くても登ることができると点から、人気が高い山です。

登頂を目指して登るのにあたっては、様々な登山ルートがあります。
最も人気があるMarangu Root(マラングルート)は山中に4泊5日、その次にメジャーなMachame Root(マチャメルート)は山中に5泊6日が標準となり、それぞれが
コカコーラルート、ウイスキールートという別名を持ちます。
色々なルートの中で、マラングルートだけは全ての宿泊地点に小屋があるという点が特徴です。

自身がマチャメルートで登った際の様子をご紹介します。
小屋泊ではなくテント泊になるためにマラングルートよりもやや大変とされているようですが、1日長いために高度順応がしやすいという点では登りやすいと思います。

自身は登山者3人に対してガイド1名、サブガイド1名、ポーター9名(うち1名は調理人兼務)の合計11名の現地人がつきました。
従って、ゲート付近は登山者よりもはるかに多い現地のサポート人員で溢れかえっています。

ゲートからしばらくは雲霧林が続きます。
標高が低くいために気温が高い上、湿気も多いために蒸し暑さを感じる中での歩行になります。

しかし、酸素濃度が地表と大きくは変わらないという点では楽です。
しばらくは密林の中を歩くために景色は見通しが悪く変わり映えもしないのですが、登山が始まったばかりの高揚感で楽しく歩くことができると思います。

最初の夜は高度3,000m程度での宿泊になります。

雲霧林を抜けると、周囲の植物の背が低くなります。
水分が減るために限られた植物しか生息ができなくなるためです。

眼下には厚い雲が広がっています。
これまで歩いてきた雲霧林帯の湿気を目で感じることができますね。

2泊目は高度3,800m以上あるシラキャンプで宿泊です。
既に富士山の標高3,776mを超えており、物理的に日本では経験できない高度になっています。

トイレが小屋として整備されているのはここまでです。
以降は物陰などで用を足すことになります。

シラキャンプの星空と朝焼けは非常に美しいです。
空気が薄い上に水分が少ない高所では、星の光が大気で吸収されにくいため地表よりも星がはっきりと見えます。
頻繁に流れ星が見えたことにも大変に感動しました。

朝も早く起きて朝焼けを見ましたが、星空とは違った素晴らしいさがあると思います。
朝日を浴びた雲海をバックにしたテントのシルエットが非日常的です。

4,000m前後の森林限界を超えると、荒々しい岩肌が目立ってきます。
山頂付近の氷河も一層近く感じられますが、標高が高いため、酸欠にならないように意識的に呼吸を深くしました。
標高4,000mあたりでは地表の6割強の気圧になっています。

キリマンジャロがヨーロッパ人に初めて認知されたのは、19世紀中盤にその存在を報告したスイス人宣教師レブマンによるものでした。
しかしながら、アフリカに氷河を抱いた山が存在するということはすぐには信じられず、初報告から1889年のドイツ人メイヤーによる初登頂までは40年ほどの時間差があります。

登山ルートの途中からは、遠くにケニア山が見えました。
キリマンジャロを擁するタンザニアではなく、ケニア山はケニアに属しています。

ケニア山の標高はアフリカ大陸で2番目に高い5,199mで、ケニアの国名はケニア山に由来します。
ケニアは『ダチョウ』を意味し、ケニア山の岩壁の黒と氷河の白がダチョウのように見えることが語源となっているそうです。

キリマンジャロの山頂5,895mはUHURU PEAK(ウフルピーク)と呼ばれています。
UHURUはスワヒリ語で『自由』を表し、1961年にタンザニアが独立した際に初代大統領であったジュリウス・ニエレレの言葉を刻んだ碑も置かれているようです。
残念ながら、その碑を見つけることはできませんでした。

この高度になると、気圧は地表の半分未満である約0.49気圧になります。
富士山の山頂が約0.62気圧であることを考えると、酸素量は富士山山頂の8割未満ということになります。

しばしば、キリマンジャロの名前の由来としてキリマが『山』、ンジャロが『白く輝く』であると紹介されます。
山頂付近では、その輝きをもたらしている氷河を見ることができますが、温暖化の影響で年々氷河が覆う面積は減っているということが知られています。

毎年のように『あと○年で氷河が消失する』ということが言われており、そのことも自身がキリマンジャロに行きたいと思う動機になりました。

自身にとって日本国内外を通じても登山は初めての経験でしたが、高山病になることもなく元気に登ることができました。
技術が要らないとはいえ、自身のような完全な素人でも登ることができる背景には現地の方の大きなサポートがあり、今でも感謝の念は絶えません。

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