社会人の海外旅行 設計事例(オーストラリア・サモア) (1)
サラリーマンが海外旅行を検討する際、日程とともに最も制約条件になる事項が旅費ですね。
2000年台後半に始まったLCC国際線の運行以降、特にアジア圏で航空券の価格破壊が進みました。
このように、航空券を安く買うことのできる環境は以前よりもずっと整ってはいますが、別の観点で安い航空券を買うための工夫をご紹介します。
実際に自分が2019年のGWに行く旅程を作る過程をベースにしています。
GW、盆、年末年始などの長期連休は一般的なサラリーマンにとってとても貴重な旅行機会である反面、航空券が非常に高い時期でもあります。
ここで数万円の旅費削減ができれば、LCCで3連休アジアなどの費用を捻出することも可能になります。
【目次】
1.一般的な国際線航空券の発売時期
2.主な中継地点ごとの分割(旅程パターンA)
3.一部国内線区間を国際線に取り込む(旅程パターンB)
4. 全国内線区間を国際線に取り込む(旅程パターンC)
5. 航空券を安くするためのまとめ(通し区間の見直し)
1. 一般的な国際線航空券の発売時期
一般的に国際線航空券は当該便の出発約1年前から購入ができるようになります。
日本の航空会社ではANA国際線が復路便出発の355日前、JAL国際線が復路便出発の330日前に発売となるため、往復を同一航空会社でまとめて取るという一般的なケースでは帰国便出発の355日前や330日前が最速の購入時期になります。
海外航空会社でも概ね同じような時期だと考えて差し支えありません。
LCCのセールなどで突発的な安値が期待される方面や時期でない限りは、安価な航空券を買う最善の方法は早期購入です。
一方、航空券の価格は同じような経路でも便のまとめ方によって価格は変わってきます。
周遊などの事例では、どこからどこまでをひと続きの航空券としてみなすかが価格を左右するということです。
ここでは、安価な航空券の購入をするための航空券最適化の実例を2回に分けてご紹介します。
なお、シミュレーションに当たっては下記を前提条件にしています。
・2019年4月25日(木)夜の関空発〜2019年5月6日(月)の関空着
・大人2名と子供1名(帰国便出発時点で4歳)
・訪問先はオーストラリア(メルボルン、ウルル)とサモア
・シミュレーションは2018年5月25日(金)時点で行ったもの
・航空券検索にはSkyscannerを使用
以降の旅程表で表示される金額は3人分総額となります。
2. 主な中継地点ごとの分割(旅程パターンA)
一般的に使用されている航空券比較サイトSkyscannerでは最大6区間の航空券を1回で見積できます。
しかし、今回の場合は6区画以上の航空券を買わなくてはならないため、見積りができるように下記のような3分割をしてみます。
なお、図の矢印の通りに旅程は進みますが、分割した航空券の番号とその往復の区別を図中では表示しています。
<航空券の分割>
・日本〜シドニーの往復国際航空券①
・シドニー~エアーズロック~メルボルンの国内航空券②
・メルボルン〜サモア~シドニーの国際航空券③
<基本的な考え>
・まずは日本~シドニーの往復国際線を取る
・シドニー~エアーズロック~メルボルンの国内線は別に取る
・さらに、メルボルン〜サモア~シドニーの国際線も別に取る
この場合のそれぞれの区間と総額は下表の通り、総額はおよそ76.7万円。
まずはこれがたたき台になります。
3. 一部国内線区間を国際線に取り込む(旅程パターンB)
元々の旅程パターンAは、オーストラリア国内でのエアーズロック往復航空券が距離の割に非常に高いことが解ります。
具体的には、日本~シドニーの往復距離9500マイル強に対して航空券約32.6万円、シドニー~エアーズロック~メルボルンの距離2500マイル未満に対して航空券約21.3万円でした。
旅程パターンAの往路で、日本〜シドニーとシドニー〜エアーズロックはともにカンタス航空で運航されていることが判ったので、自然な発想で下記のような航空券の分割を試してみます。
<航空券の分割>
・日本〜シドニー~エアーズロックとシドニー〜日本の国際航空券①
・エアーズロック〜メルボルンの片道国内航空券②
・メルボルン〜サモア~シドニーの国際航空券③
<基本的な考え>
・旅程パターンAで別々に取っていた往路の日本~シドニーとシドニー~エアーズロックのカンタス航空を繋げる
往路でシドニーを一旦の終着点にするのではなく、エアーズロックまで行ってしまう点が肝です。
これだけでも総額は68.2万円と、旅程パターンAに比べて8万円以上も安くなりました。
下表が詳細となります。
4. 全国内線区間を国内線に取り込む(旅程パターンC)
旅程パターンBはまだ、日本~シドニー~エアーズロックのカンタス航空運航便と、エアーズロック~メルボルンのカンタス航空運航便を個別に予約しています。
これも繋げてみるのが次のステップです。
<航空券の分割>
・日本〜シドニー~エアーズロック~メルボルンとシドニー〜日本の国際航空券①
・メルボルン〜サモア~シドニーの国際航空券②
<基本的な考え>
・旅程パターンBで別々に取っていた往路の日本〜シドニー~エアーズロックとエアーズロック~メルボルンのカンタス航空を繋げる
往路で日本~シドニーに移動するだけでなく、シドニー~エアーズロック~メルボルンを完全に同一旅程に組み込んでいます。
そうすることで下表の通り総額は66.8万円と、旅程パターンBに比べて1万円以上安くなりました。
5. 航空券を安くするためのまとめ(通し区間の見直し)
ここまでの旅程見直しで航空券がかなり安くなりましたが、この過程をまとめると下表のようになります。
この過程を一言で言うと、『通し区間の見直し』となります。
新幹線の切符を東京~名古屋と名古屋~京都の2枚に分けて買う場合と、東京~京都の1枚で買う方が安いことは明らかです。
航空券においても基本的には同じことが言えます。
今回の事例で解ることは次の通りです。
・同じ航空会社であれば個別購入を避けましょう
安価な通し運賃が残っている場合、個別購入よりも明らかに安くなります。
今回の事例では、日本~シドニーとシドニー~エアーズロックの便を個別から通しにした効果が大きいです。
・ストップオーバーに留意しましょう
24時間以上の滞在をする都市では、その前後便をまとめても効果は大きくありません
同一航空会社で買うと通し運賃にはなりますが、一方でストップオーバーになるためです。
そのため、通し運賃にすることでのコストダウンとストップオーバーにすることでのコストアップが相殺します。
旅程パターンCではエアーズロックがストップオーバーの地点となっています。
後編では、ここから更に安くする方法を考えたいと思います。
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