世界遺産の登録基準 文化遺産(ⅳ)・(ⅴ)・(ⅵ)
文化遺産の前半に続き、文化遺産の登録基準について説明します。
【目次】
1. 登録基準(ⅳ):人類史上代表的段階の建築・技術や景観
2. 登録基準(ⅴ):伝統的集落や土地・海上利用または人類と環境の交流
3. 登録基準(ⅵ):歴史上重要な出来事や思想等に関連するもの
1. 登録基準(ⅳ):人類史上代表的段階の建築・技術や景観
・定義
『人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本』と定義されています。
建築だけではなく、科学技術に関する遺産も含まれることが特徴です。
・代表的な海外の遺産
カンボジアの『Angkor(アンコールの遺跡群)』やスペインの『Historic Centre of Cordoba(コルドバの歴史地区)』などが該当します。
それぞれの地域・時代に特徴的な建築を含む遺産に認められています。
・代表的な日本の遺産
『厳島神社』や『富岡製糸場と絹産業関連遺産群』などが該当します。
時代を彩る建築や科学技術に関連した遺産に認められています。
2. 登録基準(ⅴ):伝統的集落や土地・海上利用または人類と環境の交流
・定義
『ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境との交流を示す顕著な見本』と定義されています。
必ずしも人間の定住だけではなく、鉱山景観などの人間と環境の交流が見られる遺産も含まれることが特徴です。
・代表的な海外の遺産
イタリアの『Venice and its Lagoon(ヴェネツィアとその潟)』やイランの『Meidan Emam, Esfahan(イスファハーンのイマーム広場)』などが該当します。
人間の生活に適した自然利用をしている遺産に認められています。
・代表的な日本の遺産
『白川郷・五箇山の合掌造り集落』や『石見銀山遺跡とその文化的景観』などが該当します。
環境に人間が溶け込んだ事例である遺産に認められています。
3. 登録基準(ⅵ):歴史上重要な出来事や思想等に関連するもの
・定義
『顕著な普遍的価値を持つ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい)』と定義されています。
他の基準では登録が認められにくい遺産が、この基準だけで登録されている事例がしばしば見られることが特徴です。
・代表的な海外の遺産
エルサレムの『Old City of Jerusalem and its Walls(エルサレムの旧市街とその城壁群)』やパレスチナ自治区の『Birthplace of Jesus: Church of the Nativity and the Pilgrimage Route, Bethlehem(イエス生誕の地:ベツレヘムの生誕教会と巡礼路)』などが該当します。
宗教における顕著な普遍的価値に関連した遺産に認められています。
・代表的な日本の遺産
『広島平和記念碑(原爆ドーム)』や『富士山 – 信仰の対象と芸術の源泉』などが該当します。
歴史上重要な出来事や思想に関連した遺産に認められています。
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