世界遺産紹介 (6) シギリヤの古代都市
世界遺産は1,000件を越え、『顕著な普遍的な価値』があると認められた人類共通の遺産です。
その中から、自分が訪れた遺産をご紹介します。
今回はシギリヤの古代都市です。
スリランカを代表する世界遺産で、スリランカののほぼ中央に位置する岩山の上に作られた宮殿遺跡です。
時間がない場合はコロンボから日帰りで行くこともできます。
【目次】
1. 遺産の概要
2. 遺産までの行き方
3. ギャラリー
1. 遺産の概要
遺産名 :Ancient City of Sigiriya(シギリヤの古代都市)
登録年 :1982年
保有国 :スリランカ
遺産区分:文化遺産
登録基準:(ⅱ)価値観の交流、(ⅲ)文化的伝統・文明の証拠、(ⅳ)人類史上代表的段階の建築・技術や景観
2. 遺産までの行き方
成田からであれば、スリランカのコロンボまで直行便が出ています。
直行便以外では、上海や香港もしくはバンコクやクアラルンプールなどを経由してコロンボまで向かいます。
コロンボからは車で3時間くらいです。
世界遺産ダンブッラもコロンボとシギリヤの間にあるため、併せて行くことが可能です。
また、スリランカ観光はコロンボを起点に時計回りもしくは反時計回りすると、色々な場所に行けます。
時計回りの場合、シギリヤの北にある世界遺産アヌラーダプラから車で2時間南下してくることになるでしょう。
コロンボから反時計回りルートの場合は世界遺産キャンディから車で約2時間の北上です。
3. ギャラリー
シンハラ語でライオンを意味する『シンハ』と喉を意味する『ギリ』からなるシギリヤは、高さ200m近い岩山です。
頂上は東西約100m弱、南北約200m弱の楕円形をした比較的平坦な地形であり、宮殿や貯水池の跡が残ります。
遺跡の入り口に入ると、遠くにその全景を見ることができます。
シギリヤは5世紀後半、シンハラ王国の王カッサパ1世により建造された宮殿でした。
王位を得るために王であった父ダートゥセナを殺害し、腹違いの弟モッガーラナを追放した際、モッガーラナの復讐を恐れて密林の中に建てられたものです。
それまでの首都はシギリヤの北西約50kmにある世界遺産アヌラーダプラに置かれていましたが、弟の復讐を恐れたカッサパ1世はシギリヤに遷都したというわけです。
その後、カッサパ1世がモッガーラナに敗れると都は再びアヌラーダプラに戻され、シギリヤはわずか11年の歴史に幕を閉じました。
途中には『シギリヤレディ』と呼ばれるフレスコ画が残っています。
現在は18体のみが残りますが、当時は500体を越えていたようです。
自身が訪れた2017年5月の段階ではフラッシュ無しでの撮影は可能でしたが、その後全面的に撮影が禁止されたとの話もあります。
また、更に進むと当時の落書きも685ヶ所残っており、『皆がシギリヤをすごいと言うので、自分は何も言わない』などと書いたものもあるそうです。
まるで現在人がいたずらっぽく書いたような内容ですね。
中腹まで来ると岩の麓にあるライオンの足に出迎えられます。
当時はシギリヤ(ライオンの喉)の名前の通り門があったとされていますが、もはや面影もありません。
ここからは見えている分だけの階段を登れば、登頂となります。
途中で水を売っている場所がないので、必ず携帯しましょう。
階段の途中から見下ろした様子です。
下から見るよりもかなり急なので、注意して登る必要があります。
登り切った先には宮殿などの建造物跡や貯水池が残っています。
このような場所ですから、水の確保は至上命題でした。
のちの11~13世紀にシンハラ王国の首都となった世界遺産ポロンナルワも比較的近い場所にありますが、12世紀後半にはパラークラマ・バーフ1世によってパラークラマ・サムードラ(パラークラマの海)と呼ばれる南北9kmの人口貯水池が築かれています。
シギリヤの麓には密林が広がっている様子がよく判ります。
弟モッガーラナからの防御力を高めるという意味では良い場所なのかもしれませんが、孤立を感じずにはいられません。
シンハラ王国は歴史が非常に長いことで知られています。
紀元前3世紀頃の建国以降、ほどなくしてマウリヤ朝アショカ王の息子マヒンダによる仏教の布教を受け入れ、国教としました。
シンハラ王国はミャンマー・タイ・ラオス・カンボジアなど東南アジアに仏教が伝わる中継点となり、その様式は南伝仏教もしくは上座部仏教と呼ばれています。
当初の首都アヌラーダプラは一時シギリヤに置かれましたが、11世紀にはインド亜大陸からチョーラ朝の進入により世界遺産ポロンナルワへ遷都して移行は激しい動乱の時代を迎えました。
17世紀以降はポルトガルやオランダの侵入もありましたが、1815年のイギリス支配によりシンハラ王国の歴史は終わりました。
同じ島国の日本人として、その長い歴史に強い興味を感じます。