世界遺産紹介 (19) カトマンズの谷

世界遺産は1,000件を越え、『顕著な普遍的な価値』があると認められた人類共通の遺産です。
その中から、自分が訪れた遺産をご紹介します。

今回はカトマンズの谷です。
盆地を中心とする独自の文化は2015年の大地震で壊滅的な被害を受けましたが、ゆっくりと復興に向かっています。

【目次】
1. 遺産の概要
2. 遺産までの行き方
3. ギャラリー

1. 遺産の概要

遺産名 :Kathmandu Valley (カトマンズの谷)
登録年 :1979年
保有国 :ネパール
遺産区分:文化遺産
登録基準:(ⅲ)文化的伝統・文明の証拠、(ⅳ)人類史上代表的段階の建築・技術や景観、(ⅵ)歴史上重要な出来事や思想等に関連するもの

2. 遺産までの行き方

日本からネパールまでの直行便はありません。
まずは香港やバンコク、クアラルンプールなどの東アジア主要都市まで向かいましょう。
直線距離的には中国経由が最も近いと思います。

主要都市まで行けさえすれば、カトマンズへは残り1フライトです。
フライトスケジュールや自分が会員になっている航空会社のアライアンスなどを考慮して、ルート検討をすると良いと思います。

3. ギャラリー

カトマンズの谷の見どころの一つは、3世紀末に始まった古都パタンです。
2015年4月に発生した大地震の影響で多くの建物が損壊し、未だ回復していません。
ダルバール広場の寺院群は崩れた状態から修復をしている最中です。

パタンは別名ラリトプルとも呼ばれ、『美の都』の意味を持ちます。
手工芸が盛んであり多くの職人が住んでいることが、その名に説得力を持たせています。
紀元前3世紀中ごろにはマウリヤ朝3代アショカ王もパタンを訪れ、仏塔を建てたと言われています。

地震の被害を免れたクリシュナ寺院の向かいには、王宮が建っています。
歴代の王が増築を繰り返したのですが、現在に残るものは数えるほどしかありません。
内部には謁見の間や居室などが存在し、隣接するタレジュー寺院は王族が参拝する場所として使用されました。

カトマンズのダルバール広場も大きく損壊が見られます。
13世紀にカトマンズ盆地で興ったマッラ朝は、パタン・カトマンズ・バクタプルの主要3都を含むものでしたが、15世紀末~17世紀初頭にかけて3つに分裂しました。
その後も個別に発展を続けながらも、元々は同じ文化圏であり各都にはダルバール広場が置かれるという共通点が見られます。

カトマンズのダルバール広場脇は、王宮や貴賓の館が並んでいます。
代表的な建物として知られるクマリの館は16世紀に建てられたものです。
クマリはネパールにおける神々の生きた化身とされ、5歳にも満たない少女から選別されています。

初潮を迎えるまでその役割を負い、祭りのとき以外は基本的に外に出ることがありません。
稀に顔を出すことがありますが、写真撮影は禁止されています。

バドガオンは別名バクタプルとも呼ばれ、55の窓がある王宮が有名です。
ニャタポラ寺院はカトマンズ盆地一帯で最も高い建物として知られており、観光客でも中に入って上ることができます。
上からはバドガオンのダルバール広場を見渡せます。

地震で損壊を繰り返し、現在残っているものは15世紀に再建されたものを基礎としています。
バクタプルはマッラ朝の最も古い都市のひとつであり、15世紀にカトマンズが、17世紀にパタンが独立しました。

カトマンズ、パタン(ラリトプル)、バドガオン(バクタプル)という見どころが比較的狭いエリアに集積したカトマンズの谷は、2007年に危機遺産リストを脱したものの、景観が急速に変わりつつあるといいます。
地震の被害の爪跡は多く残りますが、古い香りが残るうちに行っておきたい場所です。

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