世界遺産紹介 (25) ブリュージュの歴史地区

世界遺産は1,000件を越え、『顕著な普遍的な価値』があると認められた人類共通の遺産です。
その中から、自分が訪れた遺産をご紹介します。

今回はブリュージュの歴史地区です。
高い尖塔が3本も建つ旧市街区は、個人的にヨーロッパで最も好きな場所のうちのひとつです。

【目次】
1. 遺産の概要
2. 遺産までの行き方
3. ギャラリー

1. 遺産の概要

遺産名 :Historic Centre of Brugge(ブリュージュの歴史地区)
登録年 :2000年
保有国 :ベルギー
遺産区分:文化遺産
登録基準:(ⅱ)価値観の交流、(ⅳ)人類史上代表的段階の建築・技術や景観、(ⅵ)歴史上重要な出来事や思想等に関連するもの

2. 遺産までの行き方

日本からの直行便は、成田からブリュッセルまで就航しています。

直行便は限定的ですが、経由便は様々なルートがあります。
例えば、日本からパリ経由で向かうルートなどです。

パリなど主要都市からであれば1時間程度のフライトでブリュッセルに到着です。

空港から鉄道でブリュージュ駅に直接向かうことができます。
所要時間はほぼ1時間半です。

ブリュージュ中央駅からブリュージュ旧市街までは徒歩圏内です。
詳しい行き方を調べなくとも、ブリュージュ駅を出ると旧市街の尖塔が目に入りますので、それを目指して歩けば迷うことはありません。

3. ギャラリー

ブリュッヘと呼ばれることも多いブリュージュの市庁舎は、14世紀後半から約半世紀にわたって建造されました。
後期ゴシック様式の建物ですが、火焔(フランボワイヤン)のような装飾を持つことが特徴的です。

壁には様々な人物像が彫られていますが、当時の支配層を彫ったものでした。
そのためにフランス革命時には破壊され、現存するものは後に修復されたものです。

また、向かって左にはルネサンス様式の旧裁判所が建っています。
現在は裁判所ではなく、公文書の保存館として使用されているものです。

十字の門はブリュージュ旧市街東の門です。
近くにボンヌ・シエール風車があるため、訪れる際には目印になるでしょう。

運河と旧市街の境界に建っており、ナポレオンもこの門をくぐったとされています。

マルクト広場は旧市街の中心部です。
ベネルクス諸国やドイツでしばしば耳にするマルクト広場は、英語の『Market』と同じ語源なのだそうです。
つまり、街の中心として市場が開かれた場所ということになります。

マルクト広場に面する建物は階段状の破風を持つという特徴は、ブリュージュが13世紀なかばからハンザ同盟都市として交易で栄えた証拠を示すものです。
ブリュージュは羊毛などの取引で繁栄し、ヨーロッパで初めての証券取引所も作られました。

マルクト広場には、高さ80mを超える鐘楼が建っています。
鐘付近の展望台まで行くことができますが、350段以上の狭い階段を登る必要があります。
そのため、人の少ない早い時間帯に軽装で行くと比較的楽です。

展望台からはブリュージュの旧市街が一望できます。
13世紀から15世紀にかけて建てられたもので『Belfries of Belgium and France(ベルギーとフランスの鐘楼群)』としても世界遺産登録されている物件になります。

つまり、鐘楼を登ることで世界遺産としては同時に2つを訪れたことになるわけです。
鐘楼は2019年7月時点でベルギーとフランス合計で55棟が世界遺産に登録されています。

鐘楼は市民の経済力と自立の象徴でした。

鐘楼から旧市街を眺めると、鐘楼以外には2つの高い建物が見えます。
手前に見える聖母教会の尖塔は高さ120m以上で、中にはミケランジェロが作った聖母子像が納められています。

また、奥の救世主大聖堂の尖塔は100m弱です。
火災による再建を経ているため、オリジナルの13世紀よりも後に修復されたものです。

北海へと続く数多くの運河がブリュージュを彩ります。
12世紀には津波が街を襲いましたが、その爪痕を運河に転用するなどして克服しました。

一方で、15世紀には水路に泥が沈殿して船の航行ができなくなったために街は衰退しました。
そのおかげで、中世の街並みが現代にも残さることになったのです。

旧市街の中心から南には更に別の世界遺産である『Flemish Beguinages(フランドル地方のベギン会の建物)』があります。
ベギン会は半聖半俗の生活をおくる女性の集団で、ここは修道院には属さないものの集団の規律を厳しく守って生活をした場です。

13世紀半ばに建てられたもので、20世紀初頭に最後の会員が死去した後はベネディクト会に譲渡されました。

ブリュージュは、旧市街以外にも鐘楼やベギン会など合計3つの世界遺産が同じエリアに存在します。
鐘楼に登ることでそれらが同時に一望できるという稀有な体験ができるでしょう。

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