アルジェリア旅行記 (1) ムザブの谷のベニ・イスゲン(2019年2月)
2019年2月、単独でアルジェリア観光に行きました。
ムザブの谷には以前から行きたいと思っていたのですが、ビザの取得が難しい点がネックでした。
しかし、代理店経由で解決する術が見つかったのと希望日程で安い航空券が見つかったことで訪問が実現できました。
【目次】
1. アルジェリア基礎情報
2. アルジェリアへ
3. ムザブの谷への国内移動
4. ベニ・イスゲン
1. アルジェリア基礎情報
人口 :3,967万人
面積 :2,381,741平方キロ
首都 :アルジェ
公用語:アラビア語
時差 :UTC+1(日本から8時間マイナス)
通貨 :ディナール(DZD)
レート :DZD1=JPY0.935(2019年4月24日時点)
ビザ :日本人は観光目的でもビザが必要(2019年4月時点)
2. アルジェリアへ
かねてから、アルジェリアには是非とも行ってみたいと思っていた。
イバード派のベルベル人が逃げ込んだムザブの谷、五賢帝時代のローマによって建てられたジェミーラなど、興味深い見どころが多い。
しかし、ビザが面倒という噂。
航空券を買う前から観光ビザについて調べていたが、出発の1ヶ月前からしか受け付けられない上にホテルのインビテーション原本のようなものも必要らしい。
いずれも、領事館のサイトには記載がないものだ。
必要書類もさることながら、受付は東京の領事館で持込のみという、東京圏以外の住人には大変に厳しい制約がある。
更には、月曜~金曜午前の1時間強の間しか受け付けてもらえないという。
かくなる上はビザ代行申請業者に頼もうと考えて散々探したが、全く見つからなかった。
アルジェリア以外のアフリカ諸国は代行業者がいくつかあるのだが、アルジェリアに限っては全く対応業者がない。
そのため、最終手段として旅行会社に依頼することにした。
旅行会社はビザ申請代行のみでは受けてもらえないため、ツアーも一緒に申し込む必要がある。
しかしながら、2019年2月時点でアルジェリアは団体ツアーはおろか個人手配も基本的に受け付けてもらえない状況。
それでも諦めきれずにあちこち尋ねまわった結果、メティストラベルという会社で個人手配をしてもらえることになった。
どうやら、個人旅行手配の代行を請け負う会社というよりは旅行業者の手配代行会社らしいことは後から知ったが、ビザも含めてお願いすることができた。
無事にビザの目処がついたので、2018年12月のエミレーツ航空のセールでドバイ経由アルジェ行の往復航空券を購入。
念のために他の中東方面の価格も考慮しながら色々と考えたが、その観点からもアルジェリア優位は変わらなかった。
旅行出発当日の2019年2月7日(木)、18時過ぎに退社して京都駅前のバス乗場に向かった。
18時40分発のリムジンバスに乗り、20時10分に関西空港に到着。
いつも通りプライオリティパスを使うため、ぼてぢゅうに向かった。
今回は、元祖モダン焼き(税抜980円)、ガーリックシュリンプ(税抜780円)、鉄板焼鳥(税抜680円)、唐揚ノーマルサイズ(税抜580円)、味噌汁(税抜120円)の5点合計税抜3,140円(税込3,391円)。
税込3,400円のプライオリティパスの枠を理論上最大で使い切るパターンのうちの1つ。
出てきた唐揚は、1つ生が混じっていた。
かじって半分食べたところで違和感に気が付いて店員に知らせる。
現物を見た店員からは謝罪頂き、唐揚は無料にすると提案を頂いた。
プライオリティパスなので実質の支払上は関係ないのだが、ご好意としてありがたく頂いた。
関空発~ドバイ行の便は予定通り23時半頃に離陸した。
搭乗の際に特徴的だったのは、エコノミークラスの乗客が自席の位置を確認しないままに後方に行ってしまい、後から人の波に逆らって前方に戻ってくるという様子を複数回見たことだ。
関空~ドバイのエミレーツ便は機材がA380なので、エコノミークラスの最前列でも座席は40番台になる。
そのため、例えば50番台の乗客が他の機材の感覚でとりあえず機体後方まで行ってから座席を探し出すと、思いのほか番号が大きい90番台の座席ばかりであることに気が付き、慌てて前に戻らなければならないということが起きる。
ドバイには翌日2月8日(金)の朝6時前に着いた。
ほぼ予定時刻通りの到着で、後続のドバイ発~アルジェ行に乗るためにゲートを移動した。
アルジェ行便のゲート付近はドバイ空港の華やかなイメージとはかけ離れ、地味な側道にあり雰囲気がかなり違っていたのは面白い。
ドバイ発~アルジェ行便は予定通り朝8時過ぎに離陸し、12時過ぎにアルジェに到着した。
ドバイからアルジェまでは地図上では極端に離れているようには見えないものの、フライトは7時間を要した。
機内で配られた入国書類には難儀した。
英語がなくフランス語のみで、周囲の乗客に聞いても英語が解らずに翻訳してもらえない。
諦めてそのまま座席でくつろいでいると、突然後方から『お水いかがですか?』と日本語で話しかけられた。
驚いて振り返るとフランス系の女性CAで、福岡に1年住んでいたらしく、多少は日本語が話せるとのこと。
非常にありがたく、入国書類も英訳して頂いて記入を済ませることができた。
アルジェに到着すると、ビザ取得の手間とはうって変わって入国審査はスムーズに進んだ。
次は国内線で18時台に出発なので、乗継は6時間にもなる。
時間を有意義に使いたいところではあるが、事前に相談した旅行会社からは空港外に観光に行くには時間が少なすぎるとのことで空港で過ごさざるを得ず、狭い空港内をふらついた。
国際線ターミナル到着ロビーには2ヶ所の両替所があり、いずれもEUR1がDZD133.8程度。
その他にも近隣諸国のいくつかの通貨に対応しており、いずれも売りと買いの差は約3%とスプレッドが小さいため、手持ちのユーロのうち一部だけ現地通貨ディナール(DZD)に両替した。
両替したお金を崩すために水を買ってベンチに座って休むなどしていたが、あまりに時間が余るので国際線ターミナルから国内線ターミナルに移動した。
いったん国際線ターミナルの外に出て、徒歩で5分くらいの距離。
3. ムザブの谷への国内移動
国内線ターミナルに着いてアルジェリア航空のカウンターに向かおうとすると、早速怪しい男に話しかけられた。
しばらく無視していたが、勝手についてきてチェックインも手伝われてしまう。
後で絶対にチップを要求されると思ったが、彼は闇両替屋だった。
EUR1をDZD150で両替するという。
正規の両替はEUR1がDZD133.8だったので1割以上良いレートではあるが、偽札などのリスクを考えると割の良い話ではない。
渋っているとレートが上がり、EUR1がDZD150だったのがDZD155になり、最終的にDZD160になった。
面倒なのでEUR10をDZD1,600に両替だけすることにして、お引取り頂いた。
もし偽札だったとしても笑い話で済む程度の金額。
偽札でないことを確かめるため、すぐに近くの店で使ってみたが問題なく使用できた。
安心したが、せっかくなので偽札を掴まされたというオチも欲しかったという気持ちもある。
アルジェ発~ガルダイヤ行の国内線出発の2時間前になったのでゲートエリアに移動しようとすると、国内線ながらも出発カードを書くように言われた。
またもやフランス語で解らないので、ごく一部の解る部分だけ書いてほとんど白紙のカードを係員に渡し、あとは埋めてもらった。
ガルダイヤまでの便は予定通り18時半頃に離陸し、予定より20分早い19時40分に到着した。
ガルダイヤについて手荷物受取エリアから外に出ようとすると、係員に呼び止められた。
再び管理カードのようなものを書かされたが、どうやら国内線であろうとも外国人旅行者は都度記録を取っているらしい。
到着してから待合室でドライバーを待ったが、なかなか来ない。
保管乗客は次々と迎えにピックアップされるが、そもそも便に乗っていた旅行客は自分だけのようで、最終的には自分1人だけが空港に残されてしまった。
空港係員は何名かいるものの、さすがに乗客1人だけが残されるという状況は心細かった。
あまり観光客に慣れていない国ということもあり、旅行会社を通したとは言えドライバーの手配にミスがあるという可能性も頭をよぎった。
その場合、流しのタクシーも走っていない、そもそも走っていたとしても乗って大丈夫なのかなど色々な事を考えた。
そんなことを考えていると、20時なってドライバーがやってきた。
フライトの本来の着時間に合わせてちょうどのタイミングということのようだ。
観光客が多い国ではないので前もって到着するという発想はしにくいのだろう。
ともあれ、無事にドライバーと合流できて心底安心した。
そのままホテルに向かい、夕食をとって就寝した。
4. ベニ・イスゲン
2月9日(土)は朝5時に起き、6時半に朝食。
9時に昨晩のドライバー アフメッドと合流してムザブの谷にある城塞集落の1つであるベニ・イスゲンに向かった。
前夜は暗くて周囲がよく見えなかったが、ベニ・イスゲンに向かう途中で既に素晴らしい街並みが広がっており期待が高まる。
ホテルを出て10分ほどでベニ・イスゲンに到着。
要塞のように塀で囲まれており、出入口は特定の場所に限定される。
ドライバーと共に中に入ると、入口すぐの場所にある現地ガイドの待機所に案内された。
ドライバーは自分と同様に少しの英語を話すが、ガイドは完全にフランス語のみで英語は片言すら話さない。
そういう状況ではあるが、ドライバーと別れて現地ガイドと2人でベニ・イスゲンの街を見ることになった。
ドライバーからは人の写真を撮らないように注意され、その旨を示す看板も出ていた。
ムザブの谷にはベニ・イスゲンなどいくつかの城塞都市クサールがある。
それぞれは小高い丘の上に立つミナレットを中心に同心円状に広がり、周囲を城壁が囲む。
外とは隔絶されており、内部は細い道が張り巡らされている。
丘のミナレットを目指し歩いていくが、とてもガイド無しで歩ける場所ではない。
あっという間に迷ってしまうくらい道が複雑。
ガイドが何を言っているのかさっぱり解らないが、こっちがにこにこしていると向こうもにこにこと色々話をしてくれるので、何となくコミュニケーションは取れているのかもしれない。
入口から歩くこと20分ほどで、ベニ・イスゲンの最も高い位置に到着した。
てっぺんが王冠のようなミナレットと周囲に広がる広場があり、そこから周りの全景を見ることができた。
すぐ隣のメリカの城塞も見え、ベニ・イスゲンと同じように丘のミナレットを中心に広がる街の様子がよくわかる。
その他の方向を見渡しても同じような風景が広がる。
どの方向を見ても伝統的な街並みが見える景色は素晴らしく、とても感動した。
日干し煉瓦で似たような集落自体は他でも見れるかもしれないが、丘の地形を生かした城塞軍が全ての方向に広がっているというのはムザブの谷に来なければ見られない景色だと思う。
城塞の外に出ずとも生活ができるよう、市場も置かれている。
女性は白いアバヤで片目以外の全身を覆っており、その姿や生活様式は城塞外のアルジェリア人にとってさえ、伝統的で珍しいものなのだという。
そのため、国内旅行の訪問先としても大変に人気があるらしい。
市場では果物を中心に売られていた。
値段はあまりわからなかったが、城塞内での自給自足というわけではなさそうなものが多くあった。
アジア人が相当珍しいのか、人とすれ違うたびに凝視される。
簡単な博物館のような場所もあった。
個人宅を改装してアルジェリア関連の物品を展示しており、フェイスブックのアカウントを持ってたりチップの瓶が置かれていたりと、城塞内としては異色の雰囲気。
説明も流暢な英語でなされるなど、ここだけ観光臭が強くて思わず笑ってしまう。
1時間強のベニ・イスゲン観光を終え、再びドライバーと合流し次の目的地に向かうことにした。
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